お知らせ

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第三回(2012年度)学会賞 決定のお知らせ

2013年01月29日

                              2012年12月15日

一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会 第三回(2012年度)学会賞 決定のお知らせ

                    一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会
                              学会長 高橋儀平

学会賞選考委員会による厳正な審査の結果、第三回日本福祉のまちづくり学会賞受賞者を次のとおり決定しました。
(1) 学術賞:
① 代表者:澤田 有希
澤田 有希・橋本 美芽(2011)
「回復期リハビリテーション病棟に勤務する作業療法士が行う住環境整備の業務内容に関する研究」福祉のまちづくり研究 第13巻第3号
② 代表者:植田 端昌
植田 瑞昌・三浦 春菜・三谷 千瀬・野村 歓(2012)
「乳幼児の排便後始末に関する現状と課題~子育て層のオストメイト用汚物流しの共同利用に向けての考察~」福祉のまちづくり研究 第14巻2号
(2) 市民活動賞
① 遠野市仮設住宅 希望の郷「絆」
代表者:狩野 徹(岩手県立大学)、鎌田 実(東京大学)
② お茶の水UD研究会
代表者:井上 賢治

○選考経過
6人の選考委員(秋山哲男、古瀬敏、小山聡子、磯部友彦、今西正義、清水政司)により以下の2つの賞を決定した。
(1)学術賞
選考委員会は、学会誌にこれまで掲載された査読付き論文を審査対象として審査(1位3点、2位2点、3位1点として各委員が推薦した)を行い、まず優れた上位3論文を選定した。最終的に最も多くの点数を得た上位2論文を表彰することに決定した。
(2)市民活動賞
 市民活動賞は、申請2点、委員会推薦1点を審査し、2点を表彰することに決定した。

○選考評
(1)学術賞
① 代表者:澤田 有希
澤田 有希・橋本 美芽(2011)
「回復期リハビリテーション病棟に勤務する作業療法士が行う住環境整備の業務内容に関する研究」福祉のまちづくり研究 第13巻第3号
本論は作業療法士(OT)が入院から退院までの住環境整備に関して行う業務について詳細なデータを用いて丁寧な分析を行い、どの様にかかわっているかそのプロセスを詳細に示し、住環境整備のために作業療法士が中心的な役割を果たしていることを明らかにしている。つまりリ、ハ工学と建築学の立場からの住環境整備の橋渡しをする試みを行った研究として高く評価できる。
② 代表者:植田 端昌
植田 瑞昌・三浦 春菜・三谷 千瀬・野村 歓(2012)
「乳幼児の排便後始末に関する現状と課題~子育て層のオストメイト用汚物流しの共同利用に向けての考察~」福祉のまちづくり研究 第14巻2号
昨今の社会的状況を見ると、駅や建築物の車いす使用者用トイレは、車いす使用者などの障害者だけでなく、高齢者、子ども連れなどによる利用も増えている。そのために、トイレの利用において誰を優先するか、どの様に造るかなどの議論がある。しかしその実態はこれまで必ずしも十分把握されていなかった。
本論文では、子育て層の外出時利用のトイレに焦点を当て、排便の後始末についてアンケート調査から明らかにし、その設備として使えるオストメイト用汚物流し利用の可能性を明らかにし、多機能トイレが抱えている難題、つまり多様な利用者が集中することに対する優先順位の設定、そしてさまざまな設備の整備の方向性を示している。
(2) 市民活動賞
① 遠野市仮設住宅 希望の郷「絆」
代表者:狩野 徹(岩手県立大学)、鎌田 実(東京大学)
市民活動という部分はやや弱いが、産官学共同による社会活動という視点が評価できる。この仮設住宅ができたのは、第一に、遠野市が震災前から後方支援を準備していたことによる。第二に、大学の研究者が災害に対して何か支援できないかという思いを実現するために5月に訪問し、その意思を市に提案した。さらに東京大学建築学科の計画・設計提案と岩手県立大学の被災地住宅についての細かな調査の知見が総合され、仮設住宅が実現した。
つまり、複数セクターの連携があり、地元木材の利用が考慮され、バリアフリーとコミュニティ形成の両方を視野に入れるなど、まさに福祉のまちづくりの先進的な試みを行ったことが高く評価される。
② お茶の水UD研究会
代表者:井上 賢治
    ユニバーサルデザインの研究会を何年にもわたって継続的に開催し、ユニバーサルデザインの普及などに努めているだけでなく、井上眼科・柏瀬眼科などの具体的な設計においてもユニバーサルデザインの実践を試みていることが高く評価される。
なお、井上賢治・間瀬樹省・桑畑謙(福祉のまちづくり研究 第13巻2号)「ロービジョン者に配慮したクリニックのサイン計画―ユニバーサルデザインの考え方」は今回、論文賞の候補となったが、この論文も含め市民活動として評価することにした。