会長挨拶

日本福祉のまちづくり学会会長
2021年6月
日本福祉のまちづくり学会 学会長 佐藤克志(日本女子大学)

 本学会は、1997年7月11日に全国的な福祉のまちづくり活動連携と学術研究を目的に掲げ、様々な分野(工学、福祉、文化、デザイン、リハビリテーションなど)を横断する組織として設立され(当初の名称は福祉のまちづくり研究会)、今年で25年目を迎えます。

 この間、介護保険の導入、住宅セーフティネット法、バリアフリー法、障害者差別解消法の制定・施行など、社会制度的環境は大きく変化し、目に見えるところはかなり変わってきたと思っておりますが、根幹のところ、例えば「当事者参加」や「ステークホルダー間の連携」については、まだまだ発展途上だと考えております。

 確かに、ここ数年はオリンピック・パラリンピック関連の環境整備において「当事者参加」で進められたプロジェクトはいくつかありますが、今後もその経験が継承され、継続的に拡大していくのかについては疑わしい状況かと思っています。オリンピック・パラリンピックに向けて盛り上がった「当事者参加」の取り組みは、オリパラレガシーの一つであることは間違いありません。その経験継承、活動継続/拡大のための仕組みづくりなどに対する本学会の役割は大きいと思っておりますが、その役割を担うためには、当事者グループをはじめ、人材の増強が不可欠です。学会員の皆様にはこれまで以上に本学会の様々な活動に積極的にご協力頂くと共にネットワーク拡大の牽引者となられるよう切にお願い申し上げます。

 この25年間、学会誌及び学術論文活動、特別研究委員会における諸種の取り組み拡大、全国大会における特定課題研究発表の実施、論文賞及び市民活動賞の導入など、学術団体としての活動の充実に取り組んできました。2021年度にはそれら学会活動により多くの方々が参加しやすくなるよう「参加保障委員会」を新設いたしました。コロナ禍における学会活動として不可欠となったオンライン研究会を始めとして学会活動全体のアクセシビリティ向上に努めて参ります。福祉のまちづくりに関わる多くの方々の参加・合流をお持ちしております。

 最後になりますが、四半世紀にわたり、我が国の福祉のまちづくり、バリアフリー、ユニバーサルデザインを主導する中核的組織としての活動を続けることができていますのは、歴代の会長や役員をはじめとする諸先輩、そして何よりも会員の皆様のお蔭です。心から感謝を申し上げますとともに、今後とも引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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