お知らせ

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第一回 日本福祉のまちづくり学会 学会賞 決定のお知らせ

2011年02月08日

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2011年2月1日

第一回 日本福祉のまちづくり学会 学会賞 決定のお知らせ

日本福祉のまちづくり学会
学会長 髙橋 儀平

学会賞選考委員会による厳正なる審査の結果、第一回日本福祉のまちづくり学会学会賞の受賞者を次の通り決定しました。

学術賞:
代表者 江守央
江守央、伊澤岬、横山哲、駒林秀明(2006)「交通バリアフリー法基本構想策定後の継続的な市民参加のまちづくりに関する考察」『福祉のまちづくり研究』Vol.8 No.1 p31-37
 

市民の暮らしの基本を支える交通インフラストラクチャのありようを根本的に変えようという意思表明が交通バリアフリー法であるが、その仕組みに基づいて主要な交通結節点を中心としたバリアフリー基本構想が作成されても、果たしてそれが期待どおりに実現されていくかどうかは定かではない。
この論文では筆者らが構想作成に関与した自治体における継続的な活動を通じて、基本構想に描かれた姿が着実に実現されるための市民運動のあり方を提言しており、他の自治体での運動の参考になること多大である。問題へのアプローチ、手法、そして成果の表現に至るまで的確にまとめられており、本学会設立の基本理念である当事者参加の実例を示したものとして高く評価できる論文と認められる。


市民活動賞:

わがやネット(児玉道子)

家具類の転倒防止対策推進のための実践的、方法論的研究-災害時要援護者へのボランティア活動「かぐてんぼう隊」運動の拡大に向けて-

 本学会設立の直接的なきっかけは、阪神淡路大震災において障害者や高齢者が「災害弱者(=災害時要援護者)」であることを強く意識させられたことにある。この問題を解決するのは容易ではないが、まず手をつけるべきことがいくつかある。その一つが地震による直接的な被害を軽減することで、それには住宅自体の耐震性能を向上させることが第一だが、住宅がつぶれなくてもそれでことが済むわけではない。住宅そのものは無事でも、十分な地震対策を行っていない家具が倒れてきてその下敷きとなって死傷する場合もあり、そうでなくても家具が転倒することで足の踏み場もない自宅から一時的にせよ避難所に移行せざるを得ないことも起きる。しかしながら、住まい手側にこの視点での問題意識は高いとは言いがたい。
今回市民活動賞に応募があった「わがやネット」では、それらの問題意識を踏まえ、災害時要援護者の住宅における家具の転倒防止に的を絞り、ボランティア活動として家具の固定を積極的に行っている。その数年にわたる活動内容と実績、また学生を巻き込んだ活動形態など、大きな組織に依らずとも市民として具体的に何ができるかのひとつの例を示したものとして高く評価できる。


選考経過

学術賞:選考委員会は、初年度であることをかんがみ、個別応募の論文1編に加えて、学会誌にこれまで掲載された査読付き論文28編を審査の対象とすることにし、以下のような審査を行いました。
第一次審査では、学会誌掲載論文を15編まで絞り込んだ上、個別応募があった論文と合わせて16編とし、第二次審査で各委員が優先順位(1位3点、2位2点、3位1点)をつけて、それぞれ上位3論文を選ぶこととしました。最終的に、上位を占めた論文1編を表彰することに決定しました。

市民活動賞:推薦された4つの活動業績につき、市民活動をどう評価するかについての議論を踏まえて検討した結果、1点を表彰することに決定しました。