2000年10月アーカイブ

ニュースレター No.1

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会長挨拶

福祉のまちづくり研究会設立に至る経緯

 これまで多くの専門家が自らの枠の中で個別に悪戦苦闘していたこの分野ですが、特に最近の高齢社会への急速な流れの中で、さまざまな施策が打ち出されてきました。

 在宅福祉を基本に据えたゴールドプラン・新ゴールドプランの推進、新たな障害者基本法の成立、ハートビル法の成立とそれに会わせて出された生活福祉空間づくり大網、さらには交通環境のバリアフリー化に向けての動きなど、これまでに遅々として進まなかったものが一気に表に出てきました。

 しかし、容易に想像されるように、利用できる資源(財政的資源そして人的資源)は限られています。そこで、そうしたものを何とか統合して力を合わせようという議論が関係者の中で行われ、今回の研究会組織の設立に結実しました。当初は「福祉のまちづくり学会」をと考えていましたが、さまざまな議論の末にまずは研究会でということに落ちつきました。しかしわれわれが目指すのは、着実な根拠に基づいた議論と実践です。特に異なる専門性を持ち、そして異なるアプローチをとってきた関係者がそれぞれ持っているものを出し合い、新たな知恵をひねり出していくことができる場、それがこの福祉のまちづくり研究会です。

 別項に述べられているように、未だに積み残されている課題は数限りなくありますが、力を合わせることでこれまで突き当たっていた壁を突き破ることができるでしょう。

福祉のまちづくり研究会発足に思う

古瀬 敏(建築計画)

建設省建築研究所

 福祉のまちづくり研究会が発足するという。いいことだ。個人的には、「福祉」ということばが気になるのだが、しかし他には適当な表現がすぐには見あたらないので、とりあえずはやむを得まい。

 なぜ筆者が「福祉」ということばに良くない印象を持っているかといえば、「弱者のための、お恵みの」というニュアンスが強すぎるから。筆者は過去10年以上にわたって、住宅・建築の「長寿社会対応」のための研究を行い、しかもふつうの研究者としてはいささか例外的に、その成果(長寿社会対応住宅設計指針)を実施に移すところまでお付き合いした。それは、現在の高齢者のためにしたのではなく、わが団塊の世代の先行投資のために努力したのであり、したがって従来の「高齢弱者」という概念には、まったくといっていいほど無縁(悪くいえば世代のエゴだが)。とにかく、どう考えても団塊の世代には福祉ということばは似合わない。そうしたこともあって「福祉」ということばは好きではなく、勘定してみたことはないが、いろいろなときに原稿を書いたときも、それはほとんど使っていないはずだ。

 この研究会において筆者のなすべき仕事は、ことによるとこの福祉という冠を外すことにあるのかも知れないと思う。いささか逆説的だが。

福祉のまちづくり研究会の発展的解消に向けて

徳田哲男(福祉工学)

東京都老人総合研究所

 30年近くも前の話になる。当時,私は献血問題や障害者問題などにたずさわる学生赤十字奉仕団というクラブ活動に熱を入れていた。その当時盛んに使われていたチャリティという言葉を嫌い,ウェルフェアを冠にした講演会やシンポジウムを数年間にわたり企画,開催したことがある。ここには,私たちの活動が社会の穴埋め的な存在で終わることなく,社会の上澄み的な位置づけとしての可能性を模索していた。福祉という言葉には,この時代の甘酸っぱい思い出が交差する。

 さまざまな事情から,福祉のまちづくり研究会という名称からスタートすることになりそうだが,この研究会には工学,医学,社会学など幅広い領域からの学術研究者,行政担当者,あるいは高齢者や障害者などの問題当事者の参画が予定されている。議論は拡散する場合も多いであろう。しかし,研究会という共通の土俵の上で相互に経験する議論は,多くの人々にコンセンサスが得られやすい,現実的な提案や対応策に結びつくことも期待される。この活動の過程で学生時代には枠づくりだけで中座していた福祉というネーミングの意味に,私なりの納得できる回答が得られるようになれば,研究会から学会へのワンステップの踏み出しはそう遅くない時期に訪れよう。

土木工学分野からの期待

清水浩志郎(土木工学)

秋田大学土木環境工学科

 土木工学における福祉のまちづくりへの取り組みは、おもに高齢者・障害者のための交通計画、交通環境整備を中心に展開されてきた。土木工学、とくに交通計画分野の特徴は、交通における個別のバリアの解消だけでなく、歩行系システム、公共交通システム、あるいはそれらの総合など、常にシステムとしての計画や機能の評価という視点を持っていることである。また、システムの評価と関連して、費用対効果など、施策の実現性という視点を有していることも特徴である。これらの背景として、交通という研究対象がシステム性の高い対象であるというだけでなく、国や地方の政策立案、計画や基準づくりという段階において、公共性、すなわち不特定の人々を対象とした施策の根拠を示すという使命が、土木工学に求められていることがあげられよう。

 今日、福祉のまちづくりは、21世紀の活力ある社会を築くうえで、最重要課題の一つであり、本研究会の意義もそこに求められるものと理解している。しかしながら、わが国が取り組まなければならない数多くの課題の中で、福祉のまちづくりを推進してゆくためには、施策の必要性だけでなく、その効果を示すことができなれけば、社会的な合意は得られにくいものとなろう。その意味において、土木工学の中でも、総合性の追究を不可欠とする交通計画学の分野が、本研究会において担うべき役割は大きいと考えている。

 一方、交通環境整備に関する研究において、日頃から課題として感じられることは、交通サービスの対象となる人々への関心が交通場面に限られることが多く、平均的な高齢者像、障害者像に基づいて得られた研究成果が、果たして多くの人々が満足できるものであったか否かということである。すなわち、真に高齢者や障害者に利用しやすい交通環境整備のためには、個々人の能力の違いや、ライフスタイル、そしてその根本にある生活ニーズまでも含めて理解し、きめ細かな交通環境の整備が必要ではないかと感じている。

 この度の「福祉のまちづくり研究会」の発足によって、わが国のまちづくりや都市計画に対して、新たな展開への期待が高まるであろう。そしてそれは、関連する分野が相互に連携し啓発し、きめの細い施策を、時を失することなく打ち出してゆくことで、達成されうるものと考えている。大いなる発展を期待している。

福祉のまちづくり研究会発足によせて

吉川和徳(理学療法士)

板橋区立おとしより保健福祉センター

 障害のある方やおとしよりと接していると、わが国で「ノーマライゼーション」、ふつうに生活すること、の困難さを身を持って経験することが多い。公共建築物や住宅、駅、道路の段差といったハード面についてはもちろんのことであるが、特に「心のバリア」の問題を感じさせられることが多い。

 都立公園に花見に行くと、立派な障害者トイレがあるのに鍵がかかっていて使えない、ショッピングセンターや高速道路の車椅子用の駐車スペースは車椅子と関係ない自動車が駐車していたり、バリケードが置いてあって「係員を呼んで下さい」となっている。さらに、インターホンで係員を呼ばないとエレベーターに乗れない駅がある。いわゆる「健常者」が使うときに、トイレの鍵を開けてもらったり、駐車場や駅でいちいち係員を呼んだりするだろうか。

 来年長野県で冬季オリンピック終了後に、パラリンピックが行われることは多くの方がご存じのことと思う。オリンピックのための立派な施設は次々と建設され、準備は着々と進んでいるようであるが、一方でパラリンピックに来る方々の宿泊や会場間の移動の確保などはあまり進んでいないような話も聞こえてくる。車椅子の人には私たちが手を貸しますという考え方もあるようだが、外国の自立意識の強い人たちはこうした接し方を極端にきらうことをどのように考えているのだろうか。

 重い荷物を持っていたり、小さな子どもを連れていたり、ちょっと足を怪我していたりするだけで、こと移動に関しては誰でも「障害者」になる。この研究会が誰にとってもやさしいまち、誰でもふつうに生活することができる社会の実現のための基盤整備をすすめていくきっかけとなることを期待したい。

第3回

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第3回  全国大会

◆ 大会概要

日 時: 平成12年7月27日(木) 9:30~18:20
会 場: 秋田市文化会館(秋田市山王7丁目3-1,Tel.018-865-1191)
テーマ: 「地方における福祉のまちづくりの展開」
-多様なニーズを考慮した福祉のまちづくりの構築に向けて-
主 催: 福祉のまちづくり研究会
福祉のまちづくり研究会第3回全国大会実行委員会
共 催: 兵庫県社会福祉事業団(県立福祉のまちづくり工学研究所)
後 援: 厚生省、運輸省、建設省、通商産業省、秋田県、秋田市、鷹巣町、日本人間工学会、日本リハビリテーション工学協会、日本理学療法士協会、土木学会東北支部、日本建築学会東北支部、日本都市計画学会東北支部秋田県市長会、秋田県庁村会秋田県社会福祉協議会、秋田県身体障害者福祉協会、秋田県長寿社会振興財団、秋田県商工会議所連合会、秋田県商工会連合会、秋田青年会議所、秋田魁新報社、NHK秋田支局、ABS秋田放送、AKT秋田テレビ、AAB秋田朝日放送(以上予定を含む,順不同)
定 員: 500名
参加費: 正会員 5,000円 学生会員  1,500円
非会員 8,000円 学生非会員 3,000円
いずれもテキスト代含む。基調講演、パネルディスカッションのみの参加は無料。

◆ 主要プログラム

9:00 受付開始
9:30 祝辞 秋田市長 石川錬治郎
9:40~10:15 「福祉のまちづくり研究会」総会(対象:会員)(小ホール)
10:30~12:00 研究発表1 (第2,第3,第4会議室,大会議室)
12:50~14:10 研究発表2 (第2,第3,第4会議室,大会議室)
14:25~15:10 基調講演 
「地域にねざした福祉のまちづくり
   -保険・医療・福祉の包括的実践の経験から-」
     講師 加藤 邦夫 (仙台白百合女子大学)
15:15~16:50 パネルディスカッション 
「地方における福祉のまちづくりの展開
       -多様なニーズを考慮した福祉のまちづくりの構築に向けて-」 コーディネーター: 清水浩志郎(秋田大学)
パネリスト: 一関サチ子(医療法人久幸会)
一番ヶ瀬康子(福祉のまちづくり研究会長)
岩川 徹(鷹巣町長)
北林真知子(テイケイマネージメント㈱取締役)
丹内モモコ(ABS秋田放送アナウンサー)
三浦朝子(電動車いす利用者) 
15:15~16:50 あいさつ 寺山久美子(副会長:東京都立保険科学大学)
17:00~18:20 研 究 討 論 会 
テーマ1 「住民参加型福祉のまちづくり 一介護保険制度実施の中で考える-」
   (第2会議室)       担当:工藤俊輔(秋田大学),高橋儀平(東洋大学) 
司 会: 工藤俊輔(秋田大学) 
討論者: 小塚光子(鷹巣町社会福祉協議会次長),松橋雅子(Ms設計事務所主催,一級建築士),千葉健一郎(車いす利用者の立場から),高橋儀平(東洋大学)
テーマ2 「災害時・緊急時に対応した福祉のまちづくりの展開」
  (第3会議室)              担当:折田仁典(秋田高専環境都市工学科) 
司 会: 秋山哲男 
討論者: 大友幾雄(㈱週間秋田社),清野洋一(秋田市消防本部),片田敏孝(群馬大学),田中直人(摂南大学) 
テーマ3 「交通バリアフリー法の意義と課題」
  (第4会議室)                 担当:秋山哲男(東京都立大学) 
司 会: 秋山哲男 
討論者: 境田康太郎(秋田県腎臓病疾患者連絡協議会副会長),鎌田実(東京大学)新田保次(大阪大学),三星昭宏(近畿大学) 
テーマ4 「雪国における福祉のまちづくりの展開」
   (大会議室)                担当:横山 哲(北海道開発コンサルタント) 
司 会: 横山 哲 
討論者: 門脇 謙(秋田県成人病医療センター副委員長兼循環器科長),竹田 保(小規模作業所ホップ代表),中岡良司(日本赤十字北海道看護大学),米木秀雄(建築家,福祉のまちづくりサポーター) 
18:30~20:00 懇親会 [大会議場(5F)]  会費5,000円 
見学会(屋外ワークショップ) 
テーマ: 秋田県鷹巣町の福祉のまちづくり視察と意見交換 
日 時: 1999年7月28日(金) 
見学先: 鷹巣長(ケアタウン鷹巣ほか) 

◆ 研究発表プログラム1 (10:25~12:00)

住宅改善 [第2会議室(4F)]             座長:八藤後猛(日本大学) 
1. 超高齢社会における老後の住まいと住宅改善ニーズについて
 -[阿新地域・老後の住まいについてのアンケート]から-
  ○江端恭臣(岡山県保健福祉部),水嶋明子,槙原亜子,新見ほのぼの住宅研究会 
2. 北国における高齢者・障害者の外出環境
  -住宅の出入り口空間を中心に-
   ○野口孝博(北海道大学) 
3. バリアフリー住宅の設計基準の評価について
  ―その1
   ○平山京子(プランニング・オフィス・カーサ),田中直人,後藤義明 
4. 英国の高齢者・身障者適応住宅の状況
  ―ノッティンガムの事例―
   ○橋本公克(筑波技術短期大学)
5. 住宅改善アドバイザー制度に関する研究
  ○蓑輪裕子(東京都老人総合研究所),林 玉子,中裕一郎,小滝一正,大原一興,前川佳史
6. 身体障害者向け公営住宅の供給方法に関する研究
  ―個別対応設計に着目して―
   ○阪東美智子(兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所),多淵敏樹,山口あず紗,堀田祐三子,塩崎賢明 
7. 宅老所・グループホームの発展経緯
  ○大橋美幸(日本福祉大学),平野隆之,池田昌弘 
個別障害・福祉のまちづくり全般 [第3会議室(4F)]
      座長:石橋達勇(兵庫県立福祉のまちづくり研究所)
8. 知的障害者が暮らしていくことのできる地域づくり
―滋賀県甲賀郡信楽町におけるケーススタディ―
○関根摂子(京都国際アカデミー),高野大秋,古野素子,水野弘之 
9. 障害別による建築物および外部空間に対する異要求の把握に関する研究
―三重県・松阪庁舎の事例を通して―
○神谷文子(三重大学),加藤正美 
10. 扉の開閉動作に関する研究
○古瀬 敏(建設省建築研究所),布田 健,佐藤克志,後藤義明,田中真二,横林 優 
11. 聴覚障害者の生活環境改善に関する研究
―その3 中途失聴・難聴者とろう者のコミュニケーション特性と施設利用―
○高橋儀平(東洋大学),生貝典子 
12. 視覚障害者交通におけるバリアフリー度評価について
○木村一裕(秋田大学),清水浩志郎,伊藤誉志広,城守悦子
13. 土木工学分野における福祉のまちづくり研究の動向と課題
○北川博巳(東京都老人総合研究所),村上知紀
14. 高齢者保険福祉施設に関する既往研究の動向と今後の課題
○伊藤純子(摂南大学),田中直人
住民参加・当事者参加  [第4会議室(4F)]
15. 岩手県藤沢町における住民による地域づくりに関するケーススタディ
―老後も住み慣れたところで暮らしつづけることができる地域づくりのために―
○水野弘之(京都府立大学),関根摂子,高野大秋,古野素子
16. 地域における目立たない日常生活に注目した住民による地域づくり
―京都市春日学区におけるケーススタディ
 ○古野素子(京都府立大学),高野大秋,水野弘之,関根摂子,田中 舞,千原 仁
17. 住民による福祉の地域づくりに関するケーススタディ
―スウェーデンの共同組合の活動を通して―
○高野大秋(京都府立大学),水野弘之,上野勝代,古野素子,関根摂子
18. 地域特性からみた福祉のまちづくりの評価
―重点整備地区福祉のまちづくりの面的な展開に関する研究 その1-
○田中直人(摂南大学),老田智美,生島一明
19. 地域特性を考慮したバリアフリー整備の状況
―重点整備地区福祉のまちづくりの面的な展開に関する研究 その2-
○老田智美(兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所),田中直人,生島一明
20. 洪水時における独居・高齢者世帯への避難救助に関する研究
片田敏孝,寒澤秀雄,○山田宙子(群馬大学)
秋田県における福祉のまちづくり [大会議室(5F)]座長:藤井直人(神奈川リハビリテーション病院)
21. 健康医療施設と高齢者対応型賃貸住宅の複合施設
―自立する高齢者のためのまちづくりを目指して―○松野 仁(秀コーポレーション)
22. ふれあいまちの駅「やすんでたんせ」事業―地域住民がボランティアとして誰でも参加―○赤平一夫(湯沢市社会福祉協議会)
23. 秋田市ファミリー・サポート・センター開設の取り組み○五十嵐美知子(秋田市子育て総合センター)
24. 住民参加による福祉のまちづくり―秋田県鷹巣町における住民と行政が連帯・共同した福祉のまちづくり―三沢 聡,○津谷憲司(鷹巣町)
25. 秋田県鷹巣町におけるタウンモビリティ社会実験―車両とシステム運用に関する考察―○鎌田 実(東京大学),秋田哲男,木村一裕,藤井直人
26. 高齢社会において都市中心部に求められる諸機能に関する研究―タウンモビリティとコンパクトシティの可能性の検討―○浅井容子(ウヌマ地域総研),伊藤誉志広,今林健一,木村一裕,清水浩志郎
27. 地方都市におけるタウンモビリティ適用に関する研究○伊藤誉志広(東邦技術),清水浩志郎,木村一裕

◆ 研究発表プログラム2 (12:50~14:10)

歩道・車いす [第2会議室(4F)]          座長:石川隆志(秋田大学) 
28. 段差・スロープの現行基準に対する実証的評価―下肢障害者による検証と計測用車いすによる定量的評価―○阪東美智子(兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所),米田郁夫,杠 典英,西岡基夫,田中 大,山嵜敏夫,坊岡正之,橋詰 努,鍋島益弘
29. 横断勾配路面が車いす走行に及ぼす影響の定量的評価○米田郁夫(兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所),杠 典英,阪東美智子,西岡基夫,田中 大,多淵敏樹,山嵜敏夫,坊岡正之,橋詰 努,鍋島益弘
30. ソーラー電動車いすの開発○金城正治(秋田大学),大日方五郎,中山 淳
31. 視覚障害者誘導用床材,注意喚起用床材の実態と課題○米木英雄(福祉のまちづくりサポーター),伊藤春樹,横山 哲,関 和登
32. 視覚評価を用いた歩道空間に関する研究―車いす利用者を対象として―○岡本英晃(近畿大学),三星昭宏,北川博巳
33. 空間距離の相違による住民意識の変化について―住民参加型歩道整備事業における事例―布施泰治,清水浩志郎,二瓶益臣,○菅藤 学(北海道開発コンサルタント)
福祉のまちづくり・条例 [第3会議室(4F)]       座長:奈良 滋(秋田県)
34. 福祉のまちづくり条例に係わる実態と課題(その1)―福祉のまちづくり関連計画,条例の制定状況・規定内容等-○林 悦子(東京都老人総合研究所),林 玉子,蓑輪裕子,前川佳史
35. 福祉のまちづくり条例に係わる実態と課題(その2)―条例の指導・支援・推進,今後の課題等―○林 玉子(国際医療福祉大学),林 悦子,蓑輪裕子,前川佳史
36. 兵庫県福祉のまちづくり条例見直しに関する方向性について―官民共同調査を通じて得られた知見―永松寛喜,○大河内雅司(地域計画建築研究所),田中直人
37. 住民参加型歩道整備事業における情報提供・収集方法に関する研究―東北地方における委員会主催者、参加者、一般住民アンケート調査結果による―布施泰治,清水浩志郎,二瓶益臣,○内藤利幸(北海道開発コンサルタント)
38. 福祉社会に対応した基盤施設の設計と施工の問題点―ノーマライゼーションを目指して―○池田貴子(都市開発技術サービス),嘉山敏正,中垣創三
39. 事前協議内容から見た福祉のまちづくりの整備状況に関する研究―津市住み良い福祉環境づくり推進要項における事前協議内容をもとに―○神谷文子(三重大学),永井 仁
交通政策・移送サービス [第4会議室(4F)] 座長:溝端光雄(東京都老人総合研究所) 40. 要介護高齢者のモビリティと在宅サービス○藤井直人(神奈川リハビリテーション病院),秋山哲男,鎌田 実 
41. 北海道における車いす移送サービスの実態と課題○中岡良司(日本赤十字北海道看護大学),横山 哲,竹田 保 
42. 移動(移送)サービスのニーズに関する実態調査―秋田市における事例報告―○菅原裕一郎(秋田ボランティア協会),佐々木久長 
43. カナダの高齢者・障害者の交通政策○秋山哲男(東京都立大学),沢田大輔,藤井直人山田 稔,岩佐徳太郎,堀井 学 
44. 米国の公共交通のアクセシビリティを推進する制度および組織の実態○沢田大輔(東京都立大学),秋山哲男,藤井直人,山田 稔,岩佐徳太郎 
45. 諸外国におけるバリアフリー施策の社会経済的評価―規制インパクト分析の事例から―○畑めぐみ(建設省建設政策研究センター),大谷 悟 
交通特性・交通計画 [大会議室(5F)]        座長:飯田克弘(大阪大学)
46. 路面電車の併用路線における停留所における整備現況○石橋達勇(兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所),田中直人
47. 高齢者の公共交通手段の利用特性とそのサービス効果・評価について○都 君燮(名古屋工業大学),松井 寛
48. 地下鉄駅の昇降設備の配置に関する一考察―駅のユニバーサルデザインかを目指して―    ○磯部友彦(中部大学)
49. 交通ターミナル評価の考え方と東京・大阪・名古屋の評価事例―鉄道駅のやさしさ指標・基準の作成と評価―○川西太士(三菱総研),三星昭宏,秋山哲男,盛山正仁,岩佐徳太郎
50. 高齢者の潜在交通重要とその評価○永井 尚(秋田大学),木村一裕,清水浩志郎,伊藤誉志広
51. GISを用いた応答方調査による高齢者の活動交通分析○大森宣晃(東京大学),室町泰徳,原田 昇,太田勝敏

  • 巻頭言
  • 第3回福祉のまちづくり全国大会記録
    • 全国大会の概要 清水浩志郎
    • 基調講演「地域にねざした福祉のまちづくり 加藤邦夫
    • パネルディスカッション「地域における福祉のまちづくりの展開」 清水浩志郎、一関サチ子、一番ヶ瀬康子、岩川徹、北林真知子、丹内モモコ、三浦朝子、加藤邦夫
    • 屋外エクスカーション「秋田県鷹巣町における福祉のまちづくり視察」 木村一裕
    • 研究討論会1「住民参加型福祉のまちづくり」 工藤俊輔
    • 研究討論会2「災害時・緊急時に対応した福祉の町づくりの展開」 折田仁典
    • 研究討論会3「交通バリアフリー法」 秋山哲男
    • 研究討論会4「雪国における福祉のまちづくり展開」 横山 哲
    • 研究発表セッション記録 八藤後 猛、石橋達男、金城正治、藤井直人、石川隆志、奈良 滋、溝端光雄、飯田克弘
  • 研究報告
    • GPSを利用した在宅高齢者の生活圏調査 前川佳史、徳田哲男
  • 研究会活動報告
    • セミナー「まちづくりと交通バリアフリー法~今後の新たな展開~」 九後順子
    • 事務局報告・総会報告 高橋儀平
    • 支部活動報告(関西支部) 三星昭宏
  • 書評

◆ 自立促進モデルのケアマネジメントと福祉のまちづくり

寺山久美子

 「ケアマネジメント」の考え方と技法は、介護保健制度下で活用されることになって俄にクローズアップされ、平成12年4月からは「介護福祉専門員」(ケアマネジャー)も本格的に仕事を開始した。しかしながら、ケアマネジメントは高齢者の介護保健でのみ活用されるものではなく、広く障害児や障害者の地域在宅ケアでも有効で、イギリス、北欧等の地域ケア先進国では実践も進んでいることは識者のすべてに紹介しているところである。おそまきながら日本においても「障害者ケアマネジメント」の厚生省レベルでの討議と都道府県レベルでの施行が実施され、平成15年度からは本格実施の予定と伺っている。

 ところで、日本の理学療法士・作業療法士が、病院等の医療機関から保健所、老人保健施設、障害者福祉センター等の地域の保健医療福祉の場で活動するようになって久しい。しかし、当初その活動内容が「病院での理学療法や作業療法をそのまま持ち込んでいる。地域では役に立たない」との痛烈な批判を関係者から受けた。「生活という視点が抜けている」ことに気付かされ、軌道修正をし、あらたに「地域リハビリテーション活動としての理学療法、作業療法」として出直しをはかることになった。「生活上の障害を把握し、生活の中で有効な援助をおこなう」立場であり、実践が積み重なっていった。

 一方、地域保健での理学療法士・作業療法士への期待も高まり、機能訓練事業や老人保健施設での実践も徐々に増えてきた。ここでも「生活と社会資源に強い理学療法士・作業療法士」が強く要請され出した。

 筆者は、こうしたリハビリテーション職とホームヘルパー、看護婦、保健婦等他職種との混成チームによる「在宅ケアプラン策定とケアマネジメント」の演習作業に助言者として参画する機会が何度か与えられた。ここでわかったことは、①職種により在宅ケアプラン策定上得意とする分野がある。②リハビリテーション・自立促進の視点のケアプランづくりが総体的に弱い、ということであった。

 障害者・高齢者問わず、当事者自身によるセルフマネジメントが原則であるが、援助が必要な場合は「当事者のエンパワメント・リハビリテーション・自立促進の視点が入れ込まれるべきである」と主張したい。このことを保障する具体的メニューとして、理学療法・作業療法等のリハビリテーションサービス等の他、福祉用具、住宅改修等といった生活環境からのアプローチが欠かせない。この中のメニューに、移動・交通、設備等の物理的環境のみでなく心理的・情報的・文化的環境までも含んだ「福祉のまちづくり」サービス(?)を入れ込むことができるなら、21世紀の日本の社会にも多くの希望が持てるのではないだろうか。「21世紀は豊かな時代、心の時代」と予想される。「福祉のまちづくり研究会」はそのような時代の実現のための牽引車として、精力的な活動がますます期待されよう。

◆ 「老いはこうしてつくられる-こころとからだの加齢変化」

正高信男
B5、191貢、中央公論新社 660円+税

この本の題名「老いはこうしてつくられる」につられて本を書架から取りだした。その書評には「またげると思ったバーが超えられない。痛みを表現する適当な言葉が見つからない。このようなとき、人は老いを自覚する。しかし同じ年齢でも気力の充実した人もいれば、見るからに老いを感じさせる人もいる。このような個人差はなぜ出てくるのだろうか。本書は、からだの老化がいかにしてこころの老いを導くのかを独創的発想による実験で具体的に考察しながら、人々がからだの老いを受容し、こころの老いを防ぐ方法を展望する。」とあった。リハビリテーション工学の立場から、「独創的発想による実験」と「老いの個人差」に着目し、自分の仕事に活用できるのではないか?と期待し、そして自分にも間もなくやってくる「老い」に対して、「心の老いを防ぐ方法」にありつけそうだと思って読みました。老化による筋力の衰えに付いては、人間工学から広く知られていることであるが、「痛み」を表現することに対して、「チクチク」「ビリビリ」「ズキズキ」「ガンガン」のような擬音語・擬態語による痛みの程度を正確に表現できなくなる。筆者は、声帯や口周りの筋肉が衰えることにより、発音の緊張度に差が無くなってしまい、体の緊張度も同様になると指摘している。しかし、説明的な表現「針でつつくような」「ヤリで突き通すような」を使用すると若者と同様な痛みの程度を示すことができている。そして「ひらがな」と「漢字」から意味を理解する実験では、「ひらがな」の場合高齢者は時間がかかってしまう。なぜでしょうか?高齢者を理解すること、またあらゆる角度から考察するために工夫された実験で検証する態度は参考になると思います。

(藤井直人)

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